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January 27 2008年 10月 ノーザン・シンフォニア 湖水地方この夏は特に冷夏だったこともあり、夏らしい夏を迎えぬまま、イギリスは秋。日が落ちるのも早くなり、街にはもう分厚いコートを着込んだ人ばかりです。
ニューカッスルまでの3時間の電車の旅は、窓からの景色が楽しみのひとつでもあります。なだらかな丘が続く中、羊や馬たちがのんびりしている様子や、自然林の美しさなど、いつまで見ていても飽きない景色が続きます。後にまた書きますが、ボーンマスやブライトンなど南へ行く旅とはまた違い、やはり南へ行けば行くほど海は近くなり、バカンス地特有の開放的な雰囲気が感じられますが、個人的には秋や冬の少ししまった空気の中での、北の景色のほうが好きだったりします。
今回の公演は、Keswick とDewsbury。特に湖水地方にあるKeswickでは、イギリスではあまりみることができない山が、ところどころほんのりと紅く色づいていて、イギリスでは短い貴重な秋を感じることができました。
とはいえ、リハーサルが終って、本番までの休憩時間にはもう、ほぼ日も落ちて薄暗く、気温も落ちてきてあまりからだが冷えるのも良くないので、ホールの周りを少し散策するぐらいにしたのですが、なんとオーケストラのメンバーのバイオリニストがホール横にある湖にダイブ!!
もちろん、最初から泳ぐつもりでそれ相応の用意をしてきていたようですが(用意といっても、水泳用キャップとトランクス一枚ですが)、でも、水温は絶対10度以下、日も暮れかけていて、特に温泉やサウナがあるわけでもない、しかも本番前に?!
彼は時々寒中水泳をやるようで、この日もそれを楽しみにこの公演に来たようでした。もちろん、本番前ステージ裏にはタキシードを着て震えながら紅茶を飲んでる姿が…。当たり前だろう、と皆にいわれつつでも、本人はなぜかご満悦の様子で、本番にのぞんでいました。 January 23 2008年 9月 ロイヤル・フィル9月14日、(第2週目の日曜日)ロンドンのアルバートホールで夏中行われていた、BBCプロムスの最終日でした。それにあわせて、他の場所でも今夏最後の野外コンサートが行われます。
私が参加したのは、ロンドン東部の公園で開かれたロイヤルフィルの公演。プログラムは、おおよそ他の公演と一緒でしたが、さすがにロイヤル(王立)というところは、ケータリングの豪華さでした。リハーサルが終ってから、本番までの間、演奏者用テントには、美味しそうなイギリス料理(注・「美味しそうな」「イギリス料理」がどのようなものかは、またその内書きます。)が次々に並び、デザートはもちろんワインやシャンパンまで…。日本では、演奏前に一杯なんて!と非難ごうごうでしょうが、割合こちらでは、本番前に軽くパブで一杯という奏者もいて、最初はびっくりしていました。私は怖くてできないのと、本番後にとっておきたい(?)のとでしませんが、特にこういうお祭り系のコンサートでは奏者もその雰囲気を楽しまなくちゃ、という感じは好きです。
この日も、やはり「威風堂々」で締めくくりです。8月終わりからもうすっかり秋っぽい気候になっていたので、当然この日の夜も信じられないほど寒く、目の前に振られているたくさんのイギリス国旗を見ながら、「そもそも、こんな気候の国で誰が、こんな野外コンサートの伝統をつくったんだ!30年前が今より暖かかった訳でもないだろうし…。」と友人のバイオリニストが言っていたのを思い出していました。たしかに…でも、そこがイギリスっぽいな、とも思ったりして。 January 22 2008年 7月 野外コンサートイギリスの夏は、太陽がさんさんと一日中照っている日は少なく、朝起きて「お、いいお天気。」と思っても、昼ごろには雲が空を覆い、夕方ごろには強い風と雨がぱらぱらなんて日が、一番イギリスらしい「夏日」かもしれません。ウィンブルドンのテニスマッチの中継などでも、しばしば雨で中断するシーンをみかけますが、だからこそ日が出ている間は、皆いそいそと屋外のカフェやレストランに出かけたり、公園の芝生やベンチなどで日光浴に精を出したりしています。
イギリスでは夏と言えば野外コンサート、というぐらい、オーケストラのコンサートがあちこちで開かれます。ロンドン市内だとハイドパークなどの公園で行われますが、郊外になるとイギリスの伝統ある貴族や皇族の広大な敷地の一部をその日だけ一般公開して、オーケストラが演奏する特設ステージ&テントをはり、屋台などもでてほぼお祭りに近い感じで、夏の夜のひとときを楽しみます。
ですが、冒頭に書いたように、決して雨や風と無縁の土地ではないので、リハーサル中はおろかコンサート時でさえ、雨が降り出したり、風で楽譜が飛びそうになったりと言うことも、ほぼ毎回おこります。舞台上の譜面台には、最低4,5個の洗濯バサミが待機しており、はたして演奏している時間と楽譜を譜面台に固定している時間とどちらが長いんだ?ということもよくあります。こういう野外コンサートは、交響曲を1曲弾くと言うような、プログラムはまずなく、クラシックの中でもポピュラーな短い曲を次から次へとたくさん演奏するので、譜面台の上にはぺらぺらのコピー譜がいっぱい。それを次から次へと床に落としていきながら(笑)、弾いていることもあります。
そんな、夏の演奏会の中でも、印象的だったのは日本でも「アメージング・グレイス」で一躍有名になったヘイリー・ウェステンラの歌声。ほぼ毎週色々な土地へ、野外コンサートにまわっていたので、その日のソリストの名前やプログラムをリハーサル前に見ることはあまりなく、いつものように出てきたソリストに合わせて曲の冒頭を演奏し始めたのですが、次いで出てきた彼女の歌声に、思わず顔を上げてしまいました。「天使の声」って、こういうことを言うんだろうなというぐらい、彼女が発する一音一音が透明で美しく、ずっと聴いていたいなというような歌声でした。
コンサートの締めくくりは、もちろんエルガーの「威風堂々」。この曲になるとお客さんが皆立ち上がって、イギリスの旗をふり始めます。外国人の私にとっては、少し異様な光景ではありますが、どうやらこれをしたいがために、今日来たんだろうなと言うぐらいの盛り上がりようです。
それにしても、夜10時ぐらいまで続くこの野外コンサート、後半になってくると本当に寒い…。皆ブーツを履いてきたり、黒いセーターやマフラーぐるぐる巻いて、なんとか寒さをしのぎながら演奏します。私は、日本から持ってきていたカイロが大活躍でした…。
January 21 2008年6月 ノーザンシンフォニア(ニューカッスル・アポン・タイン)ロンドンから電車で、北へ3時間。スコットランドに程近いこの都市は、北部イングランド最大の都市であり、イギリスの中でも有数の美しい景観の街としても有名です。大きな建造物が立ち並ぶロンドンとは全く違う、どちらかと言うと西ヨーロッパの古い都市を思わせるような、小さなつくりの伝統的な建造物がひしめき合うような街です。市内を流れるタイン川に、たくさんの橋がかかっており、その橋の袂のひとつにザ・セイジ・ゲーツヘッド(http://en.wikipedia.org/wiki/The_Sage_Gateshead)という、総合芸術ホールがあります。シルバーの屋根が楕円のうねったドーム状に形作られていて歴史的建造物が多いこの街では、ひときわ目立っています。
ここのレジデンシャル・オーケストラとして、ノーザンシンフォニアが活躍しています。小規模の室内オーケストラのサイズですが、そのレパートリーは幅広く、バロックからロマン派、コンテンポラリーまで弾きこなしてしまう団体です。今回は、従来のプログラムより少しくだけた感じの「フランク・シナトラ・クラシック」という演奏会に参加してきました。文字通り、シナトラの名曲をオーケストラに編曲し、歌手と共に演奏するという演奏会なのですが、アンサンブル力がずば抜けていて、センスのいいプレーヤーが集まっているこのオーケストラでは、こんなライトクラシックなコンサートもいい意味で気が抜けず、でもどの曲も楽しみながら演奏してきました。
2008年5月 王立リバプール響リバプールと聞くと、日本だけでなく世界的にもサッカーのイメージが強いようですが、ここ王立リバプール響はイギリス国内でも有数の歴史あるオーケストラとして、イギリス北西部の人々に愛されています。
ここの首席指揮者は、リバプール響165年の歴史上最も若く就任したワシリー・ペトレンコ。リバプールの駅に着くと、真っ先に彼の大きなポスターが目に入るほど、リバプールの顔になっている感じです。
5月に2回、リバプール響の演奏に参加してきました。一つ目は、日本でも人気のバリトン歌手ブリン・ターフェルが、ワーグナーやベルディなどのオペラ曲に加えて彼の出身地ウェールズ地方の民謡を披露したファミリーコンサート。終始彼の歌声に観客がうっとりとした表情で、かつ盛大な拍手に包まれた演奏会でした。
ターフェルがギルドホール音楽院の出身というのもあって、数年前私が在籍していた時期に、ロンドンで大学生オーケストラの公演にターフェルがゲスト出演して、共演(?)をしていたのですが、以来、生で聴くそして、見る(?)ターフェルはやはりものすごい迫力。1000人以上入るホールも彼のひと声で揺れてしまうのでは、と思うほどの声量とその存在感でした。
隣で弾いていた同じ年ぐらいのバイオリニストがコンサート前に、「シュレックって映画見たことある?」と、私の耳元にささやきました。
ファンの方には申し訳ないですが、それを思い出しては、演奏中に噴出しそうになるほど、ちょっと似てるんです…見ようによっては…。ちょっとだけ…。
2つ目の公演は、イギリス人ピアニスト、ポール・ルイスとの共演。ベートーベン3番の繊細で真摯な演奏に心打たれつつ、彼のもつ透き通るような音色がステージ上でかいまみれる彼自身の瞳の美しさと同じだったのが印象的でした。
後半のプログラムはマーラー交響曲5番。
ペトレンコがリハーサルで、終始妥協することなく弦にも管にも細かい指示を出し、緻密なリハーサルを積み上げた結果、緊張感のある演奏に仕上がってた気がします。もちろん、この伝統あるオーケストラには30年近く在籍するメンバーもたくさんいますし、この曲を何十回も演奏してきたはずですが、そうした伝統に加えて、ペトレンコが自分の手で作り上げたいという意思がすごく伝わったリハーサルでした。
2009年1月 お久しぶりです。また書きます。最後にブログを更新したのが、おそらく1年以上前と言う感じでしょうか、落ち着いたら書こう書こうと思いながら、あっという間に2008年を通り過ぎてしまいました。
2007年末に拠点をイギリスに移し、充電期間と準備期間を経て、2008年春にこちらでの刺激的な音楽生活が始まりました。
現在、住居はロンドンにありますが、文字通りイギリス国内を北へ南へ、東へ西へと色々な土地で、色々な団体で演奏しています。一部ではありますが、これから少しずつその様子を綴っていきたいと思っています。
イギリス、特にロンドンには学生時代に7年住んでいたこともあって、やはり帰ってきた最初の数週間は懐かしい気持ちでいっぱいでした。目に入る風景がひとつひとつ懐かしく、スーパーに並ぶ食品のパッケージすら、テレビから流れてくるバラエティーのコメンテーターのハイテンションぶりにも、久しぶりに食べるチェーン店のサンドイッチにも、いちいち「あー、これこれ…」となぜか心が浮きだってしまう日々でした。
とはいえ、浮きだっている暇もあまりなく、自分が感じる、自分がこうであって欲しいと感じる音楽を求めて、イギリスでの音楽生活が始まりました。 |
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